top of page
歴史的な一歩 GEN-Japanガイアエデュケーション開幕

GEN-Japan代表理事 片山弘子

4月21日、GEN-Japanガイアエデュケーションがスタートしました。持続可能な地域づくりを世界各地で実現していくために開発された、人材育成教育プログラムで、ユネスコのGlobal Action Program(GAP)の一環として、先進国、途上国にかかわらず世界50カ国で開催。それぞれの地域や文化に根差した持続可能な地域再生に貢献しています。日本での開催は2010年以来、のことです。
4月度やってみて私が最も強く感じるのは、「人間って素晴らしい可能性を内に秘めている」ということです。ガイアへの憧憬といいますか、すべてを一つの生命体のように見る観方にたって、「一つの世界」にすすんでいきたいという気持ち。同じ思いで一緒に歩んで行く皆さんが全国から集まって、実践的に学ぶことができました。Gaia Education(本部事務局:イギリス)の副代表であり、学術ディレクターでもある、ジョバンニ・チャ―ロさんも、メキシコから駆けつけてくださり、「まだ誰も答えを知らないが、その世界の一つの部分としての自分たちの内面に、その可能性が秘められている。そこを引き出しあって、世界各地でこのプログラムを経験している仲間たちとともに、気付いたところ、みえたところから実現してこう!」と、まずは参加者とスタッフで記念撮影をしました。

4月度は、自分がなぜここにいるのか、という入り口から内面への探究が始まり、親しさでつながるとはどういうことか、というつながり方の可能性を調べあっていきました。
実はこの教育プログラムは、全く新しい社会づくりとしてエコビレッジの建設に関わってきた教育者55人が、1998年にガイアトラスト(デンマーク)に集合したことに端を発しています。ジョバンニ氏もその一人でした。そこでは現代の諸問題を引き起こしている要因を明らかにし、「宇宙自然界の一員として、この地球に生きる人類は、本来どのような存在であり、持続可能性に向けて、どのような社会を営むことが可能なのか」、本質的な要素の抽出が試みられました。その結果、「世界観・社会・経済・環境」の4分野と各々5項目の、4 Dimension Framework「Mandala曼荼羅」と呼ばれる総合プログラムが考案されたのです。以来、世界各地の実践者が、多様な文化や条件に根差した知恵や経験を、ガイドラインに沿って集積しながら、このプログラム内容自体も協力して育て続けています。

       (4D-Framework曼荼羅について説明するジョバンニ氏:アズワン鈴鹿カルチャーステーション)

 

Gaia Educationプログラムの基調となっている世界観は、アインシュタイン博士の下記の言葉に象徴されます。
「人類は全体の中の部分である。しかし私たちは自分自身を、その思考や感情を含めて、あたかも私たち以外のすべての存在から切り離されたものであるかのように経験してきた。これは人間の知覚からくる、視覚的妄想(delusion)の一種である。この妄想は、私たちを個人的な欲望や、ごく身近な人たちだけへの愛情に閉じ込めてしまう「牢獄」とも言える。すべての生命を讃え、その美しさに共感を広げていくことを通して、この牢獄から自分たち自身を解放していくことが、われわれ人類の課題である。」(Gaia Education EDE カリキュラム 最新英語版14pより翻訳片山)

私どもGEN-Japanガイアエデュケーションは、この精神にのっとり、【世界観】と【社会】に重点を置くプログラムです。これまでの文明社会で個々に分断され遠慮気兼ねや対立しがちだったお互いから、本来の自分を取り戻し、一つの世界に向けて人間性を涵養するための【世界観】と、そのようなお互いがそれぞれらしく、互いに尊重・協力し合って、自由で豊かな自治をいかに展開できるかという【社会】。
さらに、持続可能性に向けて経験豊かな3つの会場と、第一線の講師陣の理解と協力で、実践的かつ広い視野を獲得するための、総合的な学びの機会となるよう意図しています。

4月度の様子

初日は、オープニングセレモニーと公開講座が、鈴鹿カルチャーステーションで開催されました。ここはコミュニティ以外の一般市民が常に新しい情報や試みに接点が持てる、交流ステーションとなるようデザインされた会場です。
以下、岩田隆氏(アズワンネットワーク鈴鹿コミュニティ)によるニュースから紹介いたします⇒ 
こちらから
  

終わりの挨拶をするGEN-ジャパン副代表、空閑厚樹氏(立教大学教授)司会進行はGEN-ジャパンの副代表、小森伸一氏(東京学芸大学准教授)

2泊3日を通して、初めてであったお互いであったにもかかわらず、安心できる環境の下で探究し合ううちに、知識で一つの生命体の中のお互いとは知っていても、実際の暮らしの場面では、全く逆転した心の状態になることも多いと、認め合うことができました。恐れたり、守ったりしながら、自分の周りに壁を咄嗟に作って何かを守ろうとしている。本当の自分の願いは、人とつながりたいにもかかわらず、協力できるものもできなくなったり、人と遠ざかってしまったりしている。遠慮気兼ねが働いて、まっすぐにものが言えなくなり、混乱させてしまう。本来備えている親しさを邪魔するものが、どうやら自分の中にあるようだ------
最終日には、そのことを一緒に検討できる具体的な場面も期せずしてできました。皆さんが、心からその課題にむきあって、やさしく知性を働かせながら、全員にとって、それぞれに深い気付きに展開していった場面に立ち合うことができました。それぞれの心からの動きで、指導も、約束も何もない中で、いえ、だからこそでしょう、互いが本当は願っている方向に、心と知性で調和し合う姿を、そこに見ることができました。
これから、6ヶ月間にわたって毎月参加しようと参加されている16名の皆さんが、2泊3日の中で、どのように内面を広げていったかについては、レポート・感想文を全員読んでいただく中に、その内容が浮かび上がって見えるかと思います。いくつか紹介しようかと思いましたが、それよりも、各地からそれぞれの背景の中で参加に至られている、全員の心でみえたものを、そこからくみ取っていただけたらと思います。


⇒ 受講者レポートはこちらから
 

bottom of page